イギリスの作曲家ホルストが作曲した「惑星」という組曲があります。
「火星」「金星」「木星」「土星」「天王星」「海王星」「水星」の7つの惑星ごとに作られたもので、日本では「木星」のメロディーが「ジュピター」としてポピュラーになっている名曲です。
宇宙に存在している惑星達は、それぞれが音を発していて、そのハーモニーを古代ギリシア・ローマ時代の人々はそれを聴いて、人間の心身の健康にとどまらず、宇宙や世界の秩序を保つ(調律する)大切な音楽だと捉えていたようです。
ちなみに、ピタグラスは「太陽系全体で和音を奏でている」と言っていたそうです。
現代のように様々な音が溢れている中で惑星のハーモニーを聴くことはできないのかもしれないですが、NASAは惑星が発している(回転している時に発している)プラズマ波を特殊な機械で音にしています。
聴いてみるとそれぞれ違いはあるものの、どれも低音の少しこもったゴーという音なのですが、その惑星達の音が重なると、もしかすると宇宙のハーモニーとなっているのかもしれないな?とも思いました。
そもそも人間が聞こえる周波数は20~20000HZなので、その範囲以外の音は聞こえていませんが、イルカは勿論、犬や猫でも人間が聞き取れない遥かに高い音も聞こえているので、彼らはもっと楽しい音楽を聴いているのかもしれないですね。
ちなみに哺乳類で最も聴力が弱いのは人間だそうです。
そして、人間は音楽を耳からだけではなく、頭や胸や腹などの体でも直接感じていて、その体の部位から脳にメッセージが伝わり、心地いいとか不安だとかの感情が生まれているそうです(東京大学次世代知能科学研究センター大黒達也准教授と広島大学と共同研究による)。
つまり、人間は、耳には聞こえない音楽も体では聞いているのです。
現代人には宇宙のハーモニーも耳には聞こえないのかもしれないですが、体では聞いていて、体は何かを感じているのかもしれないのです。
このように耳と体で聴く音を、音楽として捉えるかどうかは、音を受けとる人間の姿勢次第と言えます。
惑星か発する音が聞こえたとしても、自然界の雨や風や波の音もただの雑音にしか聞こえない人もいると思いますが、人は、その自然の現象が発する音に好奇心を持てば、その音に何かのインスピレーションを受けてそこから何かのエネルギーを得たり、何かを創造したりすることもできるのです。
そして、そうした雑音の重なりをハーモニーとして認識して、その変化を楽しむこともでき、何かの発見に繋げることもできるのです。
ピタゴラスは、鍛冶屋を通り過ぎた時に、「キンコンカン」という鉄を叩く音の高さが違うこと、二つの高さの音が重なってハモっている時とそうではない時があることに気付き、鍛冶屋に行っていろいろ試してハンマーの重さが整数比になっている時に美しいハーモニーが聴こえることを発見し、そこから音階の仕組みを作りました。
鍛冶屋の音に何の関心も示さずただ通り過ぎるのではなく、何故協和音(ハモる音)と不協和音があるのだろうか?と感じ、好奇心と想像を膨らませていったのです。
ピタゴラスが様々な事象、その中で音に対する興味・好奇心を日頃から持っていたからこその発見なのです。
音楽が人間に感性と好奇心を芽生えさせる力を与えてくれたからこそ、音階という、音楽を楽譜に記録し、伝達することができる方法を開発することが出来たのです。